実行委員長 大藤 美帆(第10組勝願寺)
教区からの特別事業実施助成を使わせていただき、9月17日に三条別院旧御堂(Zoom併用)において標記研修会を開催しました。
講師の藤内氏は、ご自身も被災しながらも東日本大震災発生直後から東北各地において仏青お風呂プロジェクト等の支援活動に従事され、現在も能登で支援活動をされていらっしゃいます。
被災者と支援者双方の経験を併せもつ藤内氏からお話をお聞きして、寺院は必要とされているのか、何ができるのか、寺院の役割を考えたいと思い企画したものです。
講義①
午前中はまず、藤内氏の自己紹介を兼ねて、東日本大震災の際の福島及び東北各地の状況をお話しいただきました。
次に、能登の現状をお聞きし、3・11直後から藤内氏が被災地で撮りためてきた写真を見せていただきました。
福島の帰還困難区域で放置されたままの倒壊したお墓の写真、津波で家族を失いながらもお風呂に入って笑顔を見せる子どもたち…参加者一様に言葉を失いました。
座談
藤内氏にも同席いただき、一人ずつ講義①の感想を話しながら、「これから挑戦したいこと」というお題トークを行いました。
墓地の地図作り、寺のヨガの会の参加者を増やす、法話デビュー、お金の勉強、マラソンに挑戦…など様々な声が上がりました。
一巡した後は、藤内氏が3・11直後に一時避難した大阪に妊娠中の奥さんと上のお子さんを残し、単身仙台に向かった時の心境とご家族の反応に質問が集中しました。
「3・11以降、福島の人は常に選択を強いられてきた」という被災者としての言葉は、非常に重いものでした。
講義②
午後の講義②ではまず、能登の被災地の地震前・地震後を対照した写真を見せていただき、一目瞭然で変わり果てた状況が分かりました。
そして、テーマである私たちにできる支援の形とは何か、寺院の役割とは何かのお話になりました。
藤内氏は「私はたまたま支援に行ける条件が整った人だが、大多数は条件が整わない人。本当に称賛されるべきは条件が整った人を押し出してあげる整わない人の存在。整わない人が整った人を押し出してあげること、これが本当の支援である」「寺院は何かを解決するところではなく、解決できないからこそ、共に手を合わせる場を作っていくことが願われている」と時にこみ上げてくるものを抑えながら繰り返し語られ、藤内氏の体験から発せられたその言葉はダイレクトに私たちの心に響いてきました。
見せていただいた写真は悲惨なものばかりなのに、そこから真宗の教えを通して私たちに伝わってくる願いは明るい。
私たち一人ひとりが日々寺院に願われていることを考えながら、条件が整った人を押し出してあげること、これが共に形作る本当の支援ではないか。
このような新しい視点が開けた意義のある研修会となりました。
最後に、開催にご協力いただいた教区本部会の皆様、参加者の皆様にお礼申し上げます。
また、参加者が三条エリアの女性に偏ってしまったので、高田エリアとの交流を深め、男性が参加しやすい形も模索していきたいと思います。