男女平等参画専門部会より活動報告
2024年9月12日(木)、三条別院旧御堂に於いて開催された「男女平等参画専門講座」について報告いたします。
京都大学・大阪大学名誉教授である伊藤公雄氏を講師にお招きし、「男性学ってなんですか?」という講題でお話いただきました。
講義概要
そもそも「男性学」とは、1990年前後に国際的に広がった用語・学問領域であり、国際的には1970年代~80年代、その性別らしさというジェンダーに自身が縛られるジェンダー問題から発展しました。
日本では、明治以降の近代化による男女格差拡大の流れから、戦後にジェンダー平等が進んでいきましたが、男女平等社会や多様性社会への法整備等対応は欧米諸国に比して遅れを取っていきました。
その中で、今後の日本において必要なのは特定の性別だけで維持された権力の終焉と、性別を超えた「協調型集団主義」であるとされ、また特に男性性の危機(メンズクライシス)として「ケアする力」や「ケアを受け入れる力」等、男性のケア力の形成も重要であると結ばれました。
上記講義ののち、質疑応答では「多様性を認めない人も含めての多様性理解が必要であるか」や「差別の明確な定義が必要ではないか」など、「平等」や「差別」を切り口とした疑問や意見等、総勢34名の参加者と講師との積極的な意見交換がなされました。
講義を受けての所感①
今回の講義で、『男性学』という視点を初めて知りました。ジェンダー問題は女性側の差別や格差の問題だと思っていましたが、男性側も含めて考えていかないといけない問題なのだと気付かされました。男性も女性も『男性性』からの視点でそれぞれが改めてジェンダー問題を考えることができる講義でした。
男性のケア力の形成は、とても重要なお話でした。「ケアする力」は、他社・自分・全ての生命などへの配慮の力、。そして「ケアを受け入れる力」は他社からの援助を受け入れ、感謝する力だと言います。ケアを受け入れる力がないということは、ケアをした経験がないからであると話されていました。
男女が支配と依存の関係に気づき、身体的な性差を補完し合える関係性を築けていける様な社会を目指すことが大切なのだと思いました。
「男性のケア力」が構築され、そして男性が「男らしさ」ではなく「自分らしさ」を求める社会になっていければ、ジェンダー平等の実現に向かっていけるのだと感じました。
(所感:記録係)
講義を受けての所感②
本来、誰もが「平等」を願っているはずですが、その「平等」を自らの都合によって作り出そうとしてしまうがゆえに「特定の性別だけで維持される権力」構造になっていくことがあるのだと思いました。
その「終焉」が必要であるということは、性別などあらゆる異なりを超えた本来の命の平等性に今まさに立ちかえっていかなければならないということです。
今回の講義を受けて、私たち教えを聞くものはどのような視点に立って、社会全体を取り巻くジェンダー問題と向き合っていくべきなのか、大きな課題をいただきました。
(所感:駐在教導)
最後に
男女平等参画専門部会は、男女が平等に社会に参画していくことを目指して運営されています。
前年度の講座は、本山女性室スタッフの方や、助成の州議会議員の方を講師にお招きしてお話を伺いました。宗門では、まだまだ女性が参画し難い状況にあります。差別をしている、されている現状に気づき、たくさん議論していかなくてはならないと感じました。
全ての人が、性別にとらわれず自分らしく生きることができるように、一人一人がジェンダー問題を自分のこととして考えていくことが大切だと思います。
今後も男女平等参画の講座を予定しています。本当の意味で「共に」が実現する社会になるよう、一緒に考えていきませんか。
年明け春(2025年3~5月頃)には、新発田地区を会場に古川潤哉氏(日本思春期学会理事)を講師としてお招きし、男女平等参画基礎講座が予定されております。こちらも是非、ご参加ください